「言われなかった」は、「できていた」ではない no51

練習をしていると、コーチからいろいろなことを言われます。

「もっと周りを見よう」
「切り替えを早くしよう」
「そこに立ったら味方が困るよ」
「次の準備をしよう」

言われたあとに直す。

もちろん、それも成長です。

最初は分からなかったことが、教えてもらうことで分かるようになります。

でも、少しずつ次の段階へ進んでほしいと思います。

それは、

「言われる前に、自分で気づくこと」

です。

たとえば、練習で何度も同じ形からボールを失っている。

コーチから何も言われなければ、そのまま続けるのか。

それとも、

「さっきから同じところで取られているな」

と自分で気づけるのか。

ここには大きな違いがあります。

コーチが何も言わなかったから、間違っていない。

注意されなかったから、できている。

そうとは限りません。

コーチがすべてのプレーを止めて、すべての答えを教えてしまったら、子供は「教えてもらうこと」には慣れても、「自分で見つけること」が苦手になってしまうかもしれません。

だから、あえて言わないこともあります。

失敗していることに自分で気づくのか。

仲間のプレーを見て気づくのか。

同じことを繰り返して「何かがおかしい」と考え始めるのか。

その時間もトレーニングだからです。

これはプレーだけではありません。

練習が始まるのにボールが準備されていない。

片付けをしている仲間がいる。

次のメニューが始まりそうなのに話を聞く準備ができていない。

そんなとき、

「ボールを出して」
「片付けて」
「集合して」

と言われてから動くことはできます。

でも、本当に身につけてほしいのは、その一歩前です。

「次は何が必要だろう」

と自分で考えること。

サッカーやフットサルは、試合中にコーチがすべてを教えてくれるスポーツではありません。

ボールが転がる方向も、
相手の動きも、
味方の位置も、
試合の状況も、

毎回変わります。

その瞬間に自分で見て、自分で考えて、自分で決めなければいけません。

だから普段から「言われてから動く」ことに慣れてしまうと、試合でも答えを待つようになってしまいます。

ここで保護者にも、少し考えてみてほしいことがあります。

忘れ物をしそうだから先に声をかける。

遅れそうだから急がせる。

困りそうだから先に準備しておく。

子供を思えばこその行動だと思います。

でも、大人が先に気づけば気づくほど、子供が気づく機会が減ってしまうこともあります。

忘れて初めて気づくこともある。

困って初めて考えることもある。

失敗して初めて準備の大切さを知ることもある。

すぐに助けないことも、子供の成長を考えれば一つの関わり方なのかもしれません。

「自分で考えなさい」

と言われたから、自分で考えられるようになるわけではありません。

自分で気づかなければならない時間を経験するから、少しずつ考えられるようになっていきます。

教えてもらえることは、とてもありがたいことです。

でも、いつまでも答えが目の前に用意されているわけではありません。

コーチが何も言わなかったときこそ、自分に問いかけてみよう。

「これでいいのかな?」

その小さな疑問を持てるようになることが、自分で成長できる子への第一歩です。

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