サッカーやフットサルでは、
「判断を速くしよう」
という言葉をよく聞きます。
では、「判断」とは何でしょうか。
ボールを早く蹴ること?
すぐにパスを出すこと?
迷わずプレーすること?
どれも少し違います。
判断が速いというのは、プレーを急ぐことではありません。
今の状況を見て、
「何をするのが一番いいのか」
を選ぶことです。
たとえば、ボールを受けたとします。
前に相手がいる。
横には味方がいる。
後ろにもパスを出せる。
前には少しスペースがある。
そこで、
ドリブルするのか。
パスをするのか。
ボールを止めるのか。
一度後ろへ戻すのか。
いくつかある選択肢の中から一つを選びます。
これが判断です。
だから、ボールをすぐに蹴ったからといって、判断が速いとは限りません。
何も見ずに早くパスを出しているだけなら、それは「速いプレー」であって「良い判断」とは違います。
反対に、一瞬ボールを持つことが良い判断になることもあります。
相手を引きつける。
味方が動く時間をつくる。
空いているスペースが変わるのを待つ。
状況によっては、すぐにプレーしないことも立派な判断です。
大切なのは、
「早くやること」ではなく、
「その瞬間に必要なことを選ぶこと」。
では、どうしたら判断は速くなるのでしょうか。
実は、判断の速さはボールを持ってからだけの問題ではありません。
ボールが来る前に、
相手を見る。
味方を見る。
スペースを見る。
次に何が起こりそうか考える。
この準備ができていると、ボールが来たときにはすでに選択肢があります。
反対に、ボールが来てから初めて周りを見ると、
「どうしよう」
から始まります。
だからプレーが遅くなります。
判断が速い子は、頭の回転が特別に速いというより、
「考え始めるタイミングが早い」
のかもしれません。
そして、判断にはもう一つ大切なことがあります。
良い判断をしたからといって、必ず成功するわけではないということです。
味方がフリーだったからパスを選んだ。
でも、パスが少しずれて相手に取られた。
結果だけを見ればミスです。
しかし、
「フリーの味方を見つけて、そこへパスを出そうとした」
という判断まで間違っていたのでしょうか。
反対に、周りをまったく見ずに蹴ったボールが、たまたま味方につながることもあります。
結果は成功です。
でも、それが良い判断だったとは限りません。
ここは、子供のプレーを見るときにとても大切なところです。
成功したか、失敗したか。
それだけでプレーを評価してしまうと、
「なぜそのプレーを選んだのか」
が見えなくなります。
保護者も試合を見ていると、
「なんでパスしなかったの?」
「そこはシュートでしょ」
と思うことがあるかもしれません。
でも、外から試合を見ている大人と、コートの中にいる子供では見えている景色が違います。
だからこそ、
「なんであのプレーしたの?」
だけではなく、
「あのとき、何が見えてた?」
と聞いてみる。
すると、その子が何を見て、何を考えて、何を選んだのかが少し分かります。
判断力を育てるということは、正解をたくさん教えることではありません。
見る。
考える。
選ぶ。
やってみる。
そして、
「今の判断はどうだっただろう」
と振り返る。
その繰り返しの中で、自分で答えを見つけられるようになっていきます。
試合には、まったく同じ場面はほとんどありません。
だから、すべての場面の正解を覚えることはできません。
必要なのは、答えを覚えることではなく、その場で答えをつくる力です。
次にボールが来る前に、一度周りを見てみよう。
そしてボールが来たとき、
「早く何かしなきゃ」
ではなく、
「今、一番いいのは何だろう」
と考えてみよう。
その積み重ねが、本当の判断力につながっていきます。