「判断が速い」とは、急いでプレーすることではない no52

サッカーやフットサルでは、

「判断を速くしよう」

という言葉をよく聞きます。

では、「判断」とは何でしょうか。

ボールを早く蹴ること?

すぐにパスを出すこと?

迷わずプレーすること?

どれも少し違います。

判断が速いというのは、プレーを急ぐことではありません。

今の状況を見て、

「何をするのが一番いいのか」

を選ぶことです。

たとえば、ボールを受けたとします。

前に相手がいる。

横には味方がいる。

後ろにもパスを出せる。

前には少しスペースがある。

そこで、

ドリブルするのか。
パスをするのか。
ボールを止めるのか。
一度後ろへ戻すのか。

いくつかある選択肢の中から一つを選びます。

これが判断です。

だから、ボールをすぐに蹴ったからといって、判断が速いとは限りません。

何も見ずに早くパスを出しているだけなら、それは「速いプレー」であって「良い判断」とは違います。

反対に、一瞬ボールを持つことが良い判断になることもあります。

相手を引きつける。

味方が動く時間をつくる。

空いているスペースが変わるのを待つ。

状況によっては、すぐにプレーしないことも立派な判断です。

大切なのは、

「早くやること」ではなく、

「その瞬間に必要なことを選ぶこと」。

では、どうしたら判断は速くなるのでしょうか。

実は、判断の速さはボールを持ってからだけの問題ではありません。

ボールが来る前に、

相手を見る。
味方を見る。
スペースを見る。
次に何が起こりそうか考える。

この準備ができていると、ボールが来たときにはすでに選択肢があります。

反対に、ボールが来てから初めて周りを見ると、

「どうしよう」

から始まります。

だからプレーが遅くなります。

判断が速い子は、頭の回転が特別に速いというより、

「考え始めるタイミングが早い」

のかもしれません。

そして、判断にはもう一つ大切なことがあります。

良い判断をしたからといって、必ず成功するわけではないということです。

味方がフリーだったからパスを選んだ。

でも、パスが少しずれて相手に取られた。

結果だけを見ればミスです。

しかし、

「フリーの味方を見つけて、そこへパスを出そうとした」

という判断まで間違っていたのでしょうか。

反対に、周りをまったく見ずに蹴ったボールが、たまたま味方につながることもあります。

結果は成功です。

でも、それが良い判断だったとは限りません。

ここは、子供のプレーを見るときにとても大切なところです。

成功したか、失敗したか。

それだけでプレーを評価してしまうと、

「なぜそのプレーを選んだのか」

が見えなくなります。

保護者も試合を見ていると、

「なんでパスしなかったの?」

「そこはシュートでしょ」

と思うことがあるかもしれません。

でも、外から試合を見ている大人と、コートの中にいる子供では見えている景色が違います。

だからこそ、

「なんであのプレーしたの?」

だけではなく、

「あのとき、何が見えてた?」

と聞いてみる。

すると、その子が何を見て、何を考えて、何を選んだのかが少し分かります。

判断力を育てるということは、正解をたくさん教えることではありません。

見る。

考える。

選ぶ。

やってみる。

そして、

「今の判断はどうだっただろう」

と振り返る。

その繰り返しの中で、自分で答えを見つけられるようになっていきます。

試合には、まったく同じ場面はほとんどありません。

だから、すべての場面の正解を覚えることはできません。

必要なのは、答えを覚えることではなく、その場で答えをつくる力です。

次にボールが来る前に、一度周りを見てみよう。

そしてボールが来たとき、

「早く何かしなきゃ」

ではなく、

「今、一番いいのは何だろう」

と考えてみよう。

その積み重ねが、本当の判断力につながっていきます。

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