「上手くいく練習」が、いつも良い練習とは限らない No54

練習でドリブルが何度も成功した。

パスもほとんどミスをしなかった。

シュートもたくさん決まった。

そんな日は、

「今日は調子が良かった」

と感じるかもしれません。

もちろん、上手くできることは嬉しいことです。

できなかったことができるようになれば、成長も感じられます。

でも、少し違う見方もできます。

もし、ほとんど失敗しない練習だったとしたら。

その練習は、本当に自分を成長させてくれる難しさだったのでしょうか。

フットサルには相手がいます。

試合になれば、自由にドリブルをさせてくれる相手はいません。

パスを出そうとすれば狙われる。

前を向こうとすれば寄せてくる。

シュートを打とうとすれば体を張って止めにくる。

だから、練習でも相手が本気でプレーしてくれることには大きな意味があります。

たとえば1対1の練習。

守る子が簡単に抜かれてくれれば、攻撃する子は何度も成功できます。

でも、守る子が本気でボールを奪いにいけば、攻撃する子は簡単には抜けません。

何度もボールを取られるかもしれない。

思ったようなプレーができなくなるかもしれない。

では、どちらの方が良い練習なのでしょうか。

面白いのは、

自分を上手くしてくれるのは、いつも「自分が成功したとき」とは限らないということです。

本気で守ってくれる相手がいるから、

もっとボールを細かく触ろうとする。

相手との距離を考える。

スピードを変える。

身体の向きを工夫する。

今まで通用していたものが通用しなくなったときに、初めて新しい工夫が生まれることがあります。

つまり、

「やりにくくしてくれる相手」

が、自分を成長させてくれていることもあります。

これは攻撃だけではありません。

パス練習でも、

守備が本気でコースを消してくれるから、出し方を工夫するようになります。

ゲームでも、

相手が強くプレッシャーをかけてくれるから、今まで以上に準備が必要になります。

良い練習相手とは、何でも上手くやらせてくれる相手ではありません。

簡単にはやらせてくれない相手です。

そして、ここで考えてほしいことがあります。

自分は仲間にとって、そんな練習相手になれているでしょうか。

自分が守備のとき、

「攻撃の練習だから」

と簡単に抜かれていないか。

自分がボールを持っていないとき、

「自分の番じゃないから」

とプレーをやめていないか。

練習は、自分一人だけでつくるものではありません。

一人が本気で守れば、相手の攻撃の練習が良くなる。

一人が本気で攻めれば、相手の守備の練習が良くなる。

お互いが本気でプレーすることで、練習の難しさが上がっていきます。

保護者が練習を見るときも、

「今日はたくさん成功していた」

だけではなく、

「どんな相手の中でプレーしていたのか」

というところまで見てみると、違った成長が見えるかもしれません。

強い相手に何度も止められた。

思うようにプレーできなかった。

そんな日は、子供自身も「今日はダメだった」と感じることがあります。

でも実は、その日の方がたくさんの課題を見つけているかもしれません。

簡単にできる場所にいると、自分の足りないものはなかなか見えてきません。

できなかったからこそ、

「どうしたらできるだろう」

が始まります。

練習で上手くいかなかったとき、落ち込む前に一度考えてみよう。

今日の相手が、自分の何を気づかせてくれたのか。

そして、自分も仲間にとって簡単にはいかない相手になろう。

お互いが本気でぶつかることが、お互いを上手くしていきます。

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